バテン基礎知識

基礎知識1:バテンの種類

[ J52 岩崎 勝郎リポート ]

セイルの各バテンは、全てが硬いカーボンである必要はありません、セイルの特性や場所によっては、カーボン含有率の低いバテンや、グラスファイバー製バテンの方が良い場合もあります。

まずセイルからバテンを抜いてみて下さい。黒いから「カーボン」と思うかもしれませんが、黒いグラスファイバーの場合も多くあります。

グラスファイバー製が多く使用される大きな理由は、良質のカーボンバテンの1/4以下のコストで採用できることが大きいと考えます。当然、カーボンバテンと言っても松竹梅のように安価(プロダクション用)なものから高品質(カスタム)で高価な物もあります。

そして固いから、良いという訳でもありません、マストと同様に「硬さ」と同時に「しなやかさ」「反発性」などが重要です。

現在のウインドサーファーは知らないかもしれませんが、30年前はグラスファイバーのマストが主流で、アルミマストという物も最新のアイテムとされていました。

多くのバテンは、シームレスという、パイプなどと同じ、中抜き式の工法で作られますが、LIBERTYカスタムバテンは、マストと同じように1本1本巻付け工法で製作されます。

基礎知識2:セイルの各バテンの役割

ご存知のとおりセイルトップからボトムまでの各バテンには、それぞれ役割に応じたバテンデザインが施されています。

第 @ バテン:スタビライザー機能、風の流れを安定させる

第 A、B バテン:しなやかに下からのパワーを上方へ、進行風を前から後ろへ流すセクション

第 C、D バテン:高速に風(セイルパワー、進行風)を流すセクション(最適な比率の硬いバテンが必要)

第 Eバテン:セイルパワーを得るためのバテン。硬ければハンドリングが良くなり、柔らかければパワーを得ることができる、相反する機能が要求される
※特にE→ D→ Cへと風の流れを作るため、テーパーバテン、チューブバテンの長さや硬さの組合せが重要となる

第 Fバテン:フットエリアからのパワーを上流へ流すセクション
アップウインドや、大きなセイルでは、ハンドリング重視なのか?パワー重視なのか?どの機能を求めるかで、バテン構成が変わる。

セイルメーカーで、バテンカーブが変わると思う方もいると思いますが、飛行機やフィンのデザインと同様に、高速系、パワー系の区別はあるものの、実はラフ長で比率が変わるだけなのです。そこまで、空力デザインは成熟したものなのです。このフォルムを作るために限られたコストで、マストとバテンデザインを行うのがセイルデザイン。

コストを度外視して、現存する最高の技術と材料、製法で、制作されているのが、リバティカスタムバテン、当然ながら1セイル分、三本で約3万円弱です。

日本での知名度は、少ないですが、世界での認知度は、日本の10倍以上となっています。

基礎知識3:バテン構成と機能

一般的なバテン構成は、カム テーパーバテン、チューブバテン、ロッドバテンだということは、皆さん周知の通りです。

当然、ノーカムセイルには、カムは無い。ブランドによっては、ロッドバテンが無くてもバテンテンション調整ができるセイルもあります。

【カム】
プラチック素材で、マスト部分から強制的にセイル前方(マストの入り口)に、カーブをつくりだし、常にその前方カーブを保持する役割があります。

セイルの特性や使用する場所で、色々な大きさ、形がありますね。

それでは、カムがないと前方カーブはキープできないのか?それは、今回の書いているコンセプトと違う方向なので、別の機会に記載します・・・。

【テーパーバテン】
グラスファイバー素材で、テーパーの長さや厚さで、セイル前方の深さ(ドラフト)を作りだします。但し、そのうしろのチューブバテンの硬さによってテーパーの形が風の強弱によって大きく変化します。

テーパー先端厚さ2.5mm(ブランドによって3.0mm)、テーパー長:450mm、500mm、550mmの写真。

【チューブバテン】
グラスファイバー素材やカーボン素材(カーボン含有率 30%〜100%)ブランド、セイル種別、コストによって、使い分けされています。

基礎編、第2回目に記載したように100%でも、素材、製法、デザインによって大きな違いがあります。マストやFIN、自転車などのカーボンでも、良質のカーボンを使用すれば、安価なカーボンの2倍、3倍の価格になりますよね。

機能としては、セイルあたる風を後方に流しつつ、その風のパワーを帆走力に変えるセイルの最も大切な部分となります。

浅ければ、風が速く流れ、更に進行風が増えるが、走り出しやブローホールなどでのフォイル変化が少なく風圧抵抗を受けづらくなる。

深かければ、風のパワーを得て、揚力が増すが、バックハンドが大きくなりコントロールが難しくなる、また高速になれば、なるほど進行風と抵抗が大きくなり、トップスピードが伸びない。

相反する要求機能とデメリットを、どう組合せるのか? 各ブランドノウハウであり技術力となります。

特に4番、5番、6番バテンの構成は、各ブランドのセイルデザインの要です。

【ロッドバテン】
グラスファイバー素材で、バテンテンションシステムとの接合に使います。

ちなみにバテンテンションとカムテンションを勘違いしている方がいますがバテンテンションをいくら増しても、カムテンションは、殆ど変わりません。バテンポケットが膨らみ抵抗になるだけです。

カムテンションは、付属するスペーサーなどで、調整します。

次回は Liberty international Rider達の意見も反映した中級編を書きたいと思います

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